2024年3月15日金曜日

2024年3月15日手垢のついたテーマと素材でも視点者をかえると名作になる ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』

 2024年3月15日手垢のついたテーマと素材でも視点者をかえると名作になる ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』

ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』(河出文庫・amazonへは●ここ●)読了、感想。これは超超超収穫。「ある日突然目の前が真っ白になって失明する」という伝染病が一気に伝播して世界が終末に向かう、って話。人々がパニックに襲われ、強奪や強姦が頻発し、インフラが破壊され、って展開です。

この手の終末モノは昔っからよくあるんですが、たいていは物語をささえ切れずに「全世界ではどうなっているか」って大局的な話をはさむ。

だけど本書の場合、終始最初に感染したグループの視点(このグループ内の視点者はころころかわるけれど)の周囲何メートルかの話ですすんでゆくんで、中身が異様にリアルです。強姦とか射殺とかのシーンはとても痛くて読むのがきついっす。「読むのがきつい」のも感動のうち。ちなみに本書は新型コロナが世界中で猛威をふるうはるか以前に書かれた本。新型コロナのパニックを知ったうえで読むと、あらためて考えさせられます。

これはポッドキャスター「うめしお」さんに勧められて手にとった本。彼女からは以前「プロジェクトヘイルメアリー」を教えてもらって夢中で読んだ経験がある。自分と趣味の合う人の紹介する人の本はハズレにくいもんですな。

おすすめです。


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