自分の小説はどういう形で映像化されるかという話
ラジオネーム「こっそり受講生」さんからのお便り。
詳しい話は『印税稼いで三十年』(本の雑誌社)で書いたのでそちらを読んでください。
ぼくは「映像化に関しては口を挟まない」という方針なので現場との接点はなく、面白い話はないよ。
いつオファーがくるか
基本、新刊として出すと問い合わせがきます。業界慣習的に(出版契約書に書いてある場合もある)出版権を持ってる出版社、たいていは担当編集者を通じて連絡が来ます。
誰がオファーを出してくるか
ケースバイケース。フリーのプロデューサーとか、あやしい人からもけっこうオファーがある。映像は動く金の桁が違うんで、いろんな人がいる。
現代小説の場合だといろんな人から企画書が送られてくる。
時代小説は制作費がかかるせいか、オファー自体がかなり少ない(ないわけじゃない)。
歴史小説は、そもそもが「巨大な二次創作」みたいなものなんで、わざわざ原作料を払わなくていいと思われているのか、オファーそのものがない。NHK大河の『どうする家康』を観てると、「そのキャラクター設定、俺が書いたアレじゃねえか」と思うことがけっこうあるけれど、ここらへんは迂闊に口にするとブーメランのように自分にふりかかってくるから沈黙してます。まあ、お互い様。
『金ケ崎の四人』のときのオファーは、制作会社からではなくフジテレビの制作部から直接だった。転送されたメールをググるとその場でオファーしてきた担当プロデューサーの身元が確認できた。これはレアケース。基本的には映像関係は絡む人間と権利関係が複雑なので、誰にどんな権限があるのか外部からはわからない。
「今回は権限関係がシンプルで決まるから、映像化権料は言い値でOK」と毎日新聞出版に連絡をとったので決まった。
映像化権料の支払い
いまは出版社の法務に任せ、取り立てだとか権利関係の交渉もぜんぶ出版社に任せてる。以前は文芸家協会がエージェントをやってくれたが、映像化権管理の自由化にともない、各出版社がエージェントをやるようになった。そのほうがすっきりしていい。映像化権料は出版社に支払われ、マージンを差し引いて鈴木に振り込まれる形。
印税と異なり、映像化権料は固定。どんなにヒットしようが原作者には無関係。金額はというと「びっくりするほど安い」です。
映像化に関する鈴木のスタンス
「原作のクレジットが入れば、あとは何も言わない」という方針。小説と映画やドラマとではまったく別のもので、素人が口を挟むことじゃない。
撮影現場は面白いので、可能であれば見学させてもらう。『金ケ崎の四人』のときは調整がつかずに見送った。
ちなみに、映像化されても舞台化されても、原作の売り上げにはまったく無関係。
まあ、面白い話がなくてごめんなさい。
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