小説家志望者が行政書士試験を受験するメリットとは
鈴木輝一郎小説講座では20代から30代の受講生で、特にこれといった資格やスキルを持っていない人には「行政書士の資格をとっておこう」という話をしてる。
先日の講義で「なぜですか」という質問がきたのでその整理。
1)行政書士は、法律や行政手続きに関する知識が必要な資格。
エンタテインメント小説を執筆する上で、法や行政に関する知識は不可欠なので、どのみち系統だった勉強は必要。
2)行政書士試験は、国家試験としては難易度があまり高くなく、しかも独学しやすい。
おおむね10%を超えるぐらい。新人賞の予選通過程度の難易度。過去問中心で記憶力が試されるので、40歳を超えると厳しい。
年間4万人程度の人気資格で、全国どこででも問題集と参考書が入手でき、隙間時間で勉強できる。
3)行政書士資格を持つことで、行政や法律に関する一般的の知識が得られる。
判例集や法令などが読めるようになるので、ネタが拾える。試験科目は民法、憲法、商法、行政法、法律一般知識(法律用語の基礎知識。「以下」と「未満」の違いとかとか)。
4)自分の法律スキルを客観的に示せる。「学んだ」ということが形になって残る。
行政書士の開業は難しいが、法学の知識があることは客観的に証明ができる。小説家を諦めた場合でも、資格は残るので転職には有利。
宅地建物取引士と試験科目がいくつか共通しているので、あわせて受験勉強するのもいい。
ミステリーを書く場合、刑法と刑事訴訟法の知識は不可欠なんだが、これは日弁連が主催する法学検定試験でカバーすればいい。
勉強は、できるときにやっておいたほうがいい。比較的難易度が高い資格ではあるけれど、司法書士ほどの「超難関」というほどじゃない。
とっておいて損はないし、取れなくても執筆に必要な知識なので、とれなかった場合のリスクも少ないしね。
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