2021年7月23日宇宙大作戦は政治と哲学が詰まっとった
光通信の抱き合わせ契約で見始めたNetflixの『宇宙大作戦』、子供の頃は「ゴリラの惑星」とか「地底怪獣ホルタ」とか、わかりやすいエピソードばかり観てた。
けっこう忘れているものがあって、中身を忘れているものからぼちぼち再見。
子供のころにはわからなかった、政治的メッセージだとか生活哲学がずいぶん含まれていることにびっくりしているところ。
ウィリアム・シャトナー『宇宙大作戦』遊園惑星
これは超超収穫。「えええーっ! こんな終わり方だったっけ?」と。
ウィリアム・シャトナー『宇宙大作戦』宇宙軍事法廷
これは超超超超収穫。子供の頃に観たときは退屈だったんで飛ばしたけど、これ、法廷ミステリーだったのね。制作費を他の回にまわすためにセットはアリモノの使いまわしだけど、そのぶん脚本に力が入っていて、ハリウッドの底力を見せられました。
ウィリアム・シャトナー『宇宙大作戦』宇宙の帝王
後年『カーンの逆襲』で映画版の続編がつくられたもの。これはうろ覚えだったなあ。リカルド・モンタルバンのカーンが、本当に魅力的っす。
ウィリアム・シャトナー『宇宙大作戦』ベータ・スリーの独裁者
コンピュータに統治を任せた住民のところに行ってコンピュータを破壊する話。ベトナム戦争当時の、自由と民主主義を異文化にも強要してきた時代のアメリカらしい空気が出ているかなあ。この『宇宙大作戦』は、そうした独善的な箇所がちょいちょいあって面白いっす。
ウィリアム・シャトナー『宇宙大作戦』コンピューター戦争
これも紛争中の二国に惑星艦隊が強制介入して力づくで和平に持ち込む話。当時のアメリカの政治哲学が色濃く反映された話。中東戦争の真っ最中の時代だと考えると、興味ぶかいっす。
ウィリアム・シャトナー『宇宙大作戦』死の楽園
これは経済成長期のアメリカの、生活哲学がかなり強く反映された話。ここに出てくる「無理をしてあれこれ成長するより、医者が無用となって健康にまったく気をつかわなくていい社会」って、現代だと「なんでそんな楽園から出てゆこうとするんだ?」って考えられますな。
ウィリアム・シャトナー『宇宙大作戦』クリンゴン帝国の侵略
敵国クリンゴンとの中立地帯のとりあいの話。いくつか政治的に強権的に他国に介入する話が続いたので、その反省かな? 敵国クリンゴンの司令官のモデルが明らかにチンギス・ハーンで、いまだったらレギュレーションに引っかかるかも。
戦争と和平について、宇宙をメタファーにしつつ、短い時間に丁寧に作ってあります。