2020年9月6日日本車、白物家電化してないか?
日本の白モノ家電、どうでもいい機能をいろいろつけて衰退した。洗濯機、いろんな機能がついているのはたしかに凄いが、タッチパネルのスイッチが真っ先に壊れるのは、ふつうに考えてもおかしい。機能を複雑にしようがない掃除機がさっさと中国製になったのはあたりまえだ。
日本の自動車も、家電と同じ道を歩みはじめてないか? って話。
十数年前、自動車の設計にたずさわった知人から「車は車歴7年・走行距離10万キロを耐用年数として設計してる」と教わった。まあ、実際に新車登録で7年を切る前に壊れたことも、10万キロになる前にエンジンが止まったこともない。
こんど10年ぶりに新車を買うことになって、そのつもりでいたら、別の知人から「いまの車は3年持たないこともあるよ」と忠告された。「まさか」と思ってディーラーに笑いながらその話をしたら、「3年までは保証があります。追加で2年、延長保証ができますよ」という。
「それって『7年もたずに故障するよ』ってことなの?」とたずねたら、
「いまの車は電気系統が複雑で……電動スライドドアとかありますし」なんて反応が。
10月下旬納車ということで、それまでディーラーが出してくれる代車に乗ることになったんだが、この車が──いちおう言っておくと軽自動車だ。
オートマ・パワステはまあ、当然だろう。エアコンとラジオは要る。カーナビは、方向音痴だから必需品。これは標準でついてこなければあとで自力でつけるつもりだったから、まあいいや。
しかし、リモコンエンジンキーは必要だろうか? 車線変更をしようとするとなんか警告音が鳴る。サイドミラーを電動にする必要がどこにあるんだ? そもそもウインドウを電動にする必要があるのか? 説明書をみると、ABSはもちろん、前方になにかあると自動でブレーキが止まるとか、ふらつき運転すると鳴る警報とかがあるんだが、そもそもマニュアルを読まなきゃ何の警報なのかわからないのでは、警報の意味がないんじゃないか?
信号待ちのアイドリング時にエンジンをとめたり、発進時にバッテリーで動かしたりして燃費をあげてるのはわかる。たしかにリッターあたりでは倍ぐらい違う。一瞬感動しかけたけれど、我にかえった。月に2万キロ走ってた営業マン時代でも、年間で10万円そこそこの差しかない。長距離ドライブが激減した現在のガソリン代はその三分の一程度だ。たったその程度の節約のために耐久性を犠牲にするのは、無駄以外の何者でもない。
はっきり言って「下駄がわりにちょっと近所までゆく」ための軽自動車に、そんな機能は必要ない。「しゃべる炊飯器」とか「タッチパネル式洗濯機」と同じような発想だよ、それって。
要するに「壊れないと買い替え需要が生まれないから、わざわざ壊れる場所をつくる」ってしか思えないよねえ。