2020年12月10日木曜日

春日部こみと『とろ甘ダーリン ハイスペックな彼氏に夢のような恩返しをされました』でエンタテインメント小説の大切さを思い出せ!

 春日部こみと『とろ甘ダーリン ハイスペックな彼氏に夢のような恩返しをされました』(2020年7月オパール文庫)読了、感想。これは超超超超超収穫。先に言っておきます。ものすげえくだらなさ(褒めてます)炸裂のロマンス小説です。女性側からみた欲望&願望炸裂物語。水戸黄門の女性版というか、なろう小説の異世界ヒーロー小説の女性版というか。ごくふつうのメイクアップアーティストが、ある日目がさめたら隣に全裸の超絶イケメン(この描写がすごい)と超高級ホテル(この描写がすごい)にいて、そこでたっかそうなルームサービスの朝食とって(この描写がすごい)、んでもってこの超絶イケメンが主人公を褒めちぎって大切にしてくれすぎて(この描写がすごい)、女関係が身綺麗なはずなのに異様なまでに床上手で(この描写もすごい)。しかも「ここまで凄い話ならどこかに裏があるだろう」と思いながら先に進んでゆくと、まったく裏がなくてハッピーエンドという話。

小説って、読者の欲望と願望を満たすのも仕事のうちなんだけど、ここまで針が振り切ったものを読むのは清々しいっす。「起承転結とかストーリーのセオリーなんかよりも、著者と読者の願望が最優先」っていう、エンタテインメント小説のいちばん大切なところを教えてくれる小説。

小説って、本来こういうもんだぜ。面白かったぁ!


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