2021年3月31日水曜日

松岡圭祐『小説家になって億を稼ごう』は、デビュー4〜5年から10年ぐらいの小説家は絶対読んでおきなさい。

 松岡圭祐『小説家になって億を稼ごう』(新潮社 2021年3月21日)読了、感想。これは超超超超超収穫。同業者──デビュー4〜5年から10年ぐらいの小説家は絶対読んでおきなさい。

あざといタイトルなのと、小説原稿の持ち込みの箇所だけを抜き取って読む人が多い模様ですが、とても良心的で誠実な新書です。1995年デビューのベテランなので、デビュー事情はおおむね30年前のものです。

いちおう小説の入門本の体裁をとっていますが、小説家の経営本です。

「そこそこキャリアがあって、完成原稿があれば知り合いの編集者に持ち込んでも読んで検討してもらえる程度の作家」に無茶苦茶参考になります。

文芸出版の現状の分析と対応、編集者との関係、税務、トラブル回避、法務、ヒットしたあとの心がけ、映像化されたときの対応、ベストセラー作家になったら、と、内容は多岐にわたっています。

これ、「本当はそこそこ中堅どころの作家に読んでほしいけど、それじゃあ読者が限られてくるので小説家志望者に向けて書いたフリをした本」なんじゃないかなあ。

とにかく、繰り返します。そこそこキャリアを積んだ同業者は必読。


2021年3月31日記 鈴木輝一郎 by desktop


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